無事にお葬式も終わり、知華ちゃんに挨拶だけして帰ろうとした時だった。



「太陽くん、空良くん。今日はありがとう。最後まで春翔の側で春翔に元気を与え続けてくれてありがとう」


深々と頭を下げてお礼を述べる知華ちゃん。



「それは俺たちの台詞ですよ。最後まで元気をもらってたの俺たちです。ハルくんがいてくれたから頑張ってこれたんですよ」


そう空良が穏やかに話すと、「ありがとう」と何度も知華ちゃんは頭を下げた。



「知華ちゃん。頼りないかもしれないけど、何かあったら頼ってね」


「太陽くんもありがとう」



ハルくん。


大丈夫だよ。


知華ちゃんには俺や空良も付いてるから。



「あ!これ、春翔からなんやけど」


そう言って知華ちゃんは封筒を俺たちに手渡してきた。



「手紙…?」


空良と顔を見合わせる。



「春翔から俺がいなくなったら渡してって頼まれてて。またいつでもいいから読んであげて」


そう言って知華ちゃんは優しく微笑んだ。


何が書いてあるかお互い聞かずに俺たちはお葬式を後にした。



「…太陽、大丈夫か?」


「えっ?何が?」


「いや、なんでもない」


空良の言葉の意味が分からなかったが、俺は気にも留めなかった。