「…大丈夫か?」


「うん…」


目が覚めて病院内を走りまわっていた俺は、先生に捕まえられ病室に連れ戻された。



「父さん、ハルくんってどこに入院してるの?」



母さんと交代で俺の病院に足を運ぶ父さんが、無茶してハルくんを探そうとする俺の監視役も果たしていた。



だいたいハルくんがこの病院にいるとは限らないのに走って探した俺もバカだと思う。


でもなんとなく分かるんだ。


ハルくんがいるところ。



「…ここの癌病棟だよ」


「そっか。そうだと思った…」


苦しそうに話す父さんから視線を下に移す。




あー…やっぱり現実なのか。


ハルくんはここにいるんだ。



夢であってほしかった。


俺の見た、悪い夢。




ポトッ…ポトッとシーツを涙が濡らした。