「暑い~…空良、泳ぎたい」


炎天下の中、空良と図書館に向かって歩く。


図書館までの急な坂道を息を切らしながら一生懸命足を進める。


小学校最後の夏休み。


空良は毎年恒例で俺に勉強を教えるために、遊びに来てくれていた。



「泳げねぇくせに…何か奢れよ」


本当に暑いのか爽やかな表情をしている空良。



「仕方ないだろ。泳いだことないんだからさー」


拗ねたふりをするも空良はいつものことだと聞き流す。



「コーラでいいよ」


「何がコーラだよ」


「勉強を教えるお礼だよ」


「嫌だよ」


本当は空良には感謝してもし足りないけど、小学生の俺には素直に感謝の気持ちを表せなかった。