「空良は?」


待ち合わせに空良が来ないことを疑問に思っている咲希に、俺は少しがっかりした。


俺と二人は嫌なのかと。



「俺と二人やったら嫌?」


少しムッとした表情で咲希を見つめると、咲希は慌てて否定した。


真っ赤な顔をして否定する姿が可愛く思えた。



映画を見て、ランチして、ブラブラと買い物して、周りから見るとカップルに見えてるんだろうかと、少しドキドキして初めて女の子と出掛けたことに気付く。



「今日はありがとうな。映画、面白かった」


オレンジ色に染まる夕暮れの中、広場のベンチに座りながら咲希に視線を向ける。



「ううん!私こそ楽しかったよ!ありがとう」


ニコッと笑う咲希に胸がドキンと鳴る。


今日の出来事や空良の話をして盛り上がる中、俺の心は一瞬暗くなった。



こうやって楽しめる時間は後どれぐらいなのだろうか…と。