母さんは僕に言った。

『あなたが産まれる前は優しい人だった』

と。実際そうなのかは僕は知らない。

―――――…‥

今日も始まった。父さんの虐め。昨日は僕。今日は母さんが父さんの虐めの対象だ。
母さんは抵抗をしない。僕もしない。父さんに蹴られ様と、殴られ様と母さんは抵抗はしない。抵抗すると余計に酷いことをされると分かっているのだろう。
そう…あの惨劇の日までは……。

冬の寒い日、何故か何時もとは違い母さんが幼稚園に迎えに来ない。何時もなら、痣だらけの顔をにこりと笑わせ来る筈なのに。
幸い、僕の家は幼稚園から近い。僕は先生に言い、一人で家路につく。