翌日
亮太君は意外と明るい子だった。元気な声で
「よろしくお願いします!」
と言った。わたしは、亮太君を弟のように思った。それからずっと週に2回、70分間の授業をした。最初の5分くらいは雑談をした。亮太君は色んな事を話してくれた。友達と一緒に遊びに行くなどと、楽しい話を何度もしてくれた。
成績も右肩上がりになってもうすぐ夏休みだという時。初めて亮太君の口から悲しい話を聞いた。高校に入学してから付き合ってきた彼女に別れられた、と言っていた。わたしの口からは、何も言葉が出なかった。