私の過去の値段



「では、なんで記憶を売ろうと、思ったんですか??」


「忘れてしまいたいからです」


「なぜですか?」


「ーー覚えていても辛いだけだからです」


8年間。
ずっと引きずってきた
成長する事も無く。
もちろん前に進むこともなく



「どんな記憶ですか?」


「変わった恋愛をした半年間の記憶です」



「どう変わっていましたか??」






「生まれて初めて人を愛しました。」


あの人と出会えた思い出さえあれば
私は生きて行ける
そんな事を言う人を私は見たことがある。


匂いでご飯は本当に食べれますか?
それを毎日続けられますか?

無理でしょう。きっと、
そんなの言葉のあやだ


すぎた幸せだけで
生きて行けるなんて
ただの綺麗事だ

いつか無い物ねだりが始まるんだ
じゃあ
そのあの人が
違う人と付き合ったとしても
同じことが言えるんですか?



「どうして、それが変わってるんですか?」



「ーーー同性の方と付き合っていたからです」



あの時。
喧嘩をしなければ
あの時
あんなことを言わなければ

そう。馬鹿みたいな後悔を


本当に馬鹿みたいに