「マモル?」

「ええ…木下マモル君だったかな?マモルって字は思い出せないんだけど。幼稚園が、一緒だった子に似てるなって。ずっと一緒に遊んでたんですよ。ヒーローごっことか鬼ごっことか。楽しかった思い出があります。でも幼稚園を卒園後、僕が東京に引っ越すことになって。」

「あの、東京に引っ越す前はどこに?」

「高知県です。」

「あの、もしかして方言で『~って言いゆうやろ』って言葉を使いますか?」

「はい。『言っている→言いゆう』,『言っていた→言いよった』,『言う→ゆう』,『言った→ゆった』。でももう話せるレベルじゃありませんけど。」

と苦笑いしながら頭を掻いた。

「ありがとうございました!」

一ノ瀬と直哉は、ファミレスを飛び出した。車に乗り走り出すと同時に一ノ瀬の携帯が鳴った。代わりに直哉が出た。

「もしもし?先生?ああ、水柿君。先生に伝えて!当たってたって。」

興奮した様子で若芽は伝えてきた。

「よし。水柿、蒸栗さんに電話して鶴橋のこと聞いてくれ。俺のポケットに財布が入ってる。名刺はその中だ。」

直哉は、名刺を取り出し電話をかけた。

「もしもし?」

「あっ、今朝お世話になりました。一ノ瀬真赭と一緒にいた水柿です。」

「ああ、何か?鶴橋、まだ何にも話してませんよ。あなた方から聞いた情報を話しました。顔色を少しかえたんですがまだ黙秘を。」

「あの、鶴橋さんをつれて蘇芳さんの入院している病院につれてきてくれませんか?」

「は?何を…」

「お願いします。あと病院に話しをつけておいてください。面会の時間過ぎてしまいますから。夜7時にでは。」

「ちょっと!!」

すばやく電話を切った。