一ノ瀬は、蒸栗にこれまでのことを話した。蒸栗は、腕をくみ何やら考えていた。
そして

「分かりました。まだ鶴橋が、その件とどう繋がりがあるか分かっていません。わかり次第またお話を聞くことがあるかも知れません。そのときはよろしくお願いします。」

蒸栗は、そう言うと立ち上がった。直哉は、急いで気になっていた事を伝えた。

「じゃあ、何で鶴橋を連行したんですか?鶴橋の名前や住所そして被害者との関係を警察は知らなかった。僕らでさえ関係に関してはまだしらない。ならどうして?」

「密告の電話があったんですよ。ご丁寧にファックスで似顔絵もね。声はくぐもっていて分かりませんでした。で彼女…彼ですか?を見つけ話しを聞いても黙秘。怪しいですよね?だから連行された訳です。」

「鶴橋葵に会わせてくれませんか?」

直哉が、言うと蒸栗は首を横にふった。

「出来ません。規則です。」

そう言うと蒸栗は、一礼し出て行った。

東雲が、一ノ瀬に問いかけた。

「…鶴橋葵が、やったのか?」

「やってないよ。全体。」

直哉が、直ぐに返した。

「根拠は?」

東雲が、返すと同時に一ノ瀬が一言発した。

「蘇芳茜に会いに行こう。」