「看護師は、いいの?」

直哉が言った。

「まあ、かわいい子だったからな。惜しい気はしている。」

「多分、めっちゃ怒ってるよ。あの電話の鳴りよう半端じゃなかった。」

「ああ…。」

時間はカフェをでたときまでさかのぼる。時間は16時を指していた。21時まで時間が、たっぷり余っていた。車に乗ったときタブレットに着信があった。

件名 たいらクリニックについて

調べた情報を送ります。  若芽

という内容だった。

「何だ?これ。」

直哉が、言うと一ノ瀬が応えた。

「若芽にうえはら美容クリニックについてネットの情報そしてSNS の噂等を調べておくよう言って置いたんだ。」

「何の為に?」

「まあ、内情を知ってる知ってないでは大きく違う。それに後々、役にたつ。言っておくがネットの情報を100%信じるのはいけない。最後は、直接見聞きしたものが正しいから。」

そこには以下の事が表示されていた。

うえはら美容整形クリニック
 1992年に設立。院長 上原真里亜。国立大学の医学部卒業後、実家の経営する美容整形クリニックで10年勤務。現在、独立したいら美容整形クリニックを経営。

2006年10月に28歳女性が施術後、目の痛みをうったえたいら美容整形クリニックを訴えています。裏金で弁護士らを買収したとか色々、噂が流れているようです。

「これが役にたつの?」

「まあな。役にたたない物はこの世には無いのだよ。水柿君。」

そのあとなんだかんだ時間を潰し20時半、現在に至る。

看護師からの問合せのメールや電話がなりやまかった。一ノ瀬は、院長の退社時間を聞き出すのに何やら看護師に吹き込んだらしい。

「人でなし…。」

直哉が呟くと

「ん?何だって?」

一ノ瀬は、方耳に手をあてて聞こえないふりをした。あと10分ほどで21時になるときフライングで上原が出てきた。急いで車から降り上原を呼び止めようとしたとき前方の路地から若い男が現れた。

「先生…あの人。」

直哉が、言うと一ノ瀬が

「ああ…似てるよな。」

と同意した。そこにいたのは白田が目撃した男の特徴と酷似した青年がいた。直哉たちと目があったとき青年は急いで踵を返し走り出した。

「待て!」

直哉は、走り出していた。一ノ瀬が

「こっちは任せろ!」

と叫んだのが聞こえた。青年は、路地を上手く逃げる。直哉は、ここら辺の土地勘が無かった。青年との差がどんどん広がって行く。もう追い付かないと諦めかけたとき
青年の目の前に幼女が飛び出してきた。青年が、幼女を避けるため身を交わしたとき前のめりに転倒した。