「待ってたよ。」

一ノ瀬は、直哉を招き入れスリッパを勧めた。それを履き直哉は、室内を見た。廊下が一直線に伸び廊下の先にリビングであろうドアそして廊下の左右脇には3部屋づつドアがあった。

「先生、金持ち?」

「まあね。私のじゃないがな。」

直哉の先を歩く一ノ瀬は、片手をヒラヒラさせた。

どうせ、遺産だろ?

直哉は、呟いた。

一ノ瀬は、突き当たりのドアを開けた。やはりリビングであった。白と黒で統一された洒落た部屋だった。東雲と若芽はもう来ており黒のソファに座って待っていた。

「さあ、座って。」
 
一ノ瀬は、長ソファの若芽の横を指した。直哉は、それに従った。

「まず、自己紹介から。前回、出来てないからな。」

一ノ瀬が、言った。

「私は、ご存知一ノ瀬真赭。保健医だ。
産休の田中先生の代わりに赴任してきた。趣味は、映画鑑賞。特技は料理。よろしく。」

一ノ瀬が、直哉を見た。

「…フン。僕は、水柿直哉だ。東雲は、分かってるだろうが高等部1年3組。趣味はない。」

今度は東雲。

「俺は、東雲隼人。水柿と同じクラス。」

次に若芽。

「僕は、若芽岳。機械いじりが好き…。」

「お前、見たことない。」

東雲が言うと若芽が黙って下を向いた。すると一ノ瀬が、

「若芽は、学校に行っていない。だが同じ高校そして同級生だ。仲よくな。」

と言い

「さて!」

と話を本題に戻した。

「今回、君たちを呼んだのは他でもない。依頼が入った。」