魔女の瞳

理解できない。

人間なんて、短い寿命の中であくせく生きて、死ぬのが何より怖くて、生き延びる為なら誰かを犠牲にして…。

目の前にいるこの村人達みたいな、自己中心的で汚い心の持ち主じゃないの!

そしてエリス、あんたもそんな人間じゃないの!!

「死ぬのが怖くないの!?あんたこのままじゃ死んじゃうのよ!?」

私がこうしてエリスに言っている間にも、村人達は私達二人を罵る。

悪魔の手先だの、汚らわしい魔女だの罵声を浴びせている。

私達に悪の汚名を着せられる上、賞金までもらえるならちょうどいいくらいにしか思っていない連中だ。

…一人の男が、磔にされた私達の足元に火を放った。

火炙りにするつもりだ。

「エリス!!あんたさえ助けを求めてくれれば、私はこんな囲みすぐにでも…!!」

「……」

エリスは涙を浮かべたまま、笑顔で首を横に振った。

「私が死ぬのも怖いけど…自分の命欲しさにみんなを傷つけるのはもっと怖い…」

「……っ」

信じられない。

人間なんて、みんな命が惜しいんじゃないの?

エリス、あんた人間の癖に、何でそんな…!!

炎が私とエリスの体を舐め上げていく。

私ですら何度経験しても慣れる事のない苦痛。

エリスにとっては泣き叫ぶに等しい恐怖と痛みだっただろう。

だから、そうなる前に。





「メグさん…例え魔女でも、貴女は私の親友でした」




エリスは本当に…本当に清らかなままの笑顔で、私にそう呟いた。