魔女の瞳

気を取り直して、修内太が言う。

「確かお前の話によると、そのホムンクルスが一匹逃げたんだよな」

「ええ」

私は神妙な顔をして頷いた。

「しかも暴走した凶暴な奴よ。アイツは逃げる間際に安藤先生を『食った』から今は落ち着いていると思うけど…」

「腹を減らしたら、また人間を襲う?」

修内太の言葉に、私はもう一度頷いた。

途端に。

「ち、ちょっと…何?」

修内太はベッドから起き上がった。

「何って、そのホムンクルスを探し出して止める」

「馬鹿言わないでちょうだい!!」

私は彼の肩をつかんで止めた。

何を言ってるの、こいつ!?

あの暴走したホムンクルスは、私ですら仕留めるのに手こずるまでになっている。

脆弱で貧弱な人間がかかって行った所で、瞬殺されて食料にされるのがオチだ。

それは修内太にもわかっている筈。

「だったら!」

修内太は右目だけで私を睨んだ。

「誰があの化け物を止めるんだ!?止められるのはあの化け物の事を少しでも知っている、俺しかいないだろう!」

「……」

呆れた。

こいつ最初から違うと思っていたけど、本当に私の知っている人間とは違う。

弱くてすぐに死んじゃう寿命の短い人間の癖に、他の誰かの為に命を懸けるっていうの?