魔女の瞳

あの怪物は、『ホムンクルス』という。

ホムンクルスは、ヨーロッパの錬金術師が作り出す人工生命体の事。

元々はデッドゲイト家に伝わる生命創造の秘術の一種だったのだけれど、私がエリスと暮らしていた頃に知り合った自称錬金術師の男に、面白半分でその秘術の事を話してしまった。

それを応用して、その男が編み出したのがホムンクルスの創造法だ。

蒸留器に人間の精液を入れて四十日密閉し腐敗させると、透明で人間の形をした物質ではないものがあらわれる。

それに毎日人間の血液を与え、馬の胎内と同等の温度で保温し四十週間保存すると人間の子供ができる。

それが男の編み出したホムンクルスの創造法。

「まさか本気で作っちゃうとはね…しかも六百年も経った今の時代でも、それを実践する人間がいるとは…」

私は腕組みしたまま溜息をつく。

「お…おい…」

修内太がまた固まっている。

「お前が秘術の事を話したっていう、その自称錬金術師の男の名前って…?」

「ん?えーと…パラケルスス、とか言ってたっけ。変な名前よね」

私が言うと、修内太は卒倒しそうになっていた。

「パ、パラケルススってったら、世界で一番有名な錬金術師の名前じゃないか!お前そんな奴にホムンクルスの作り方教えたのか!?」

「うん。魔道に理解がある、なかなか面白い奴だったわよ?」

「……」

額に手を当て、難しい顔をする修内太。

何でそこで呆れられるのかわからないけど。