魔女の瞳

慌てて家の扉を開ける。

「メ、メグさんっ」

そこには両手の中に暴れだしそうな魔力を抱えたまま、必死で堪えるエリスの姿があった。

彼女の手の中で青白い光の玉と化した魔力が時折歪に形を変えながら渦を巻き、稲妻のような放電を起こしている。

ジジジッとスパークするような音。

今にも魔力の渦は爆発し、エリスのか細い腕ごと弾けそうだった。

渦の作り出す風圧によって、部屋の中は竜巻でも通過した後のように物が散乱している。

「ごめんなさいっ、私っ、私っ」

「話は後っ!!」

必死に謝るエリスに駆け寄る。

私は両手に自分の魔力を集め、固定した。

エリスの暴発寸前の魔力を抑えつける為の手袋のようなものだ。

「もう少し我慢してなさい。すぐに助けてあげるから」

頬に汗を伝わせながら、それでも私はエリスに落ち着いて語りかける。

エリスが不安を抱くと、それだけで魔力の渦は簡単に暴発しかねない。

彼女の精神を安定させる事が、魔力の渦の安定にも繋がるのだ。

慎重に、しかし迅速に。

私は両手でエリスの魔力を抑え込む。

「あうっ!」

エリスが声を上げた。

魔力の膨張を抑えたせいで、エリスの腕に負荷がかかったのだろう。

「もう少し!もう少しの辛抱よ!」

励ましながら少しずつ暴走した魔力を収縮させる。

負荷がかかっているのはエリスの腕だけではない。

爆発しそうなものを無理矢理に抑え込んでいるのだ。

私の腕にも相当な負荷があった。