魔女の瞳

私は残る一体の人型へと向き直る。

「さぁ先生。その子もこちらへ」

「いやだ!」

安藤はまるで玩具を取り上げられる子供のように、最後の人型に抱きついて泣きじゃくった。

「…先生。娘さんを亡くされた事はお悔やみ申し上げます。でもその子は、今の世には居てはならない子…禁断の生命なんです…今ならなかった事に出来るし、私も罪には問う気はない。だから…」

「いやだ!!」

聞き分けのない子供が叫ぶように、涙をこぼし、鼻水を垂らし、安藤はわめいた。

見苦しい。

必死なのはわかる。

でも貴方は教師という聖職に就いた、分別ある大人ではないの…!?

「いい加減にしなさい!!手遅れになる前に、さあ!!」

私は叫ぶ。

「いやだぁあぁぁああっ!!!!」

安藤が狂ったように泣き喚いた。

その時…!!

「っ…!!」

安藤の腕の中で、人型が不安定な痙攣のような動きを見せ始めた。

私はハッとする。

いけない、あれは…。

「先生離れて!!その子暴走し始める!!」

創造主たる安藤の感情の際限ない昂ぶりに影響されて、肉体をコントロールできなくなったのか。

人型は安藤への『親』という認識も捨て去り。

「うわ…ぎゃ…ぎゃあああああああっ!!!!!!」







私の目の前で、凄惨な光景を見せつけた…。