魔女の瞳

私が殺意を持っていると感じ取り、本気になったのか。

先程まで緩慢だった人型達の動きが、急に俊敏になる。

無表情だった顔に凶暴性を剥き出しにし、牙をあらわにし、伸縮自在の鋭い爪を立て、私に迫ってくる!!

食らいついてくる、数体の人型!!

しかし…「!?」

人型の牙は、私に届く事はなかった。

牙が触れる寸前で、見えない力に遮られるようにして止まっている。

障壁。

わかりやすく言えばバリアだろうか。

魔女は常にその身体周辺に、身を守る為の不可視の防護壁をまとっている。

本人の無意識のうちにでも危険が迫ればそれは発動し、物理攻撃だろうと魔術だろうと魔女の身を守ってくれるのだ。

「お前達も生まれてきたばかりで可哀相だけど」

私は呪眼で人型達を睨む。

「無へと還りなさい」

途端に人型達の体が、パキパキと音を立てて凍りつき、最後には粉々に砕け散った。

『氷結』の魔術。

温度を下げる、凍りつかせる魔術は熱力学第二の法則に背く現象を引き起こす事であり、極めて高度な技術である。

それ故に威力も高い。

十体からいた人型達は、あっという間に残り一体になってしまっていた。