魔女の瞳

これまで以上に警戒を強めて。

私は気取られないように、慎重に進んでいった。

そっと、教室の入り口近くまで近づき、中を覗き込む。

…そこにあったのは、一般人にとっては信じ難い、そして私にとっては懐かしいとも言える光景だった。

教室の床に、幾つもの大き目のフラスコが直置きされている。

フラスコの中には、粘液にまみれた小さな物体。

それが時折気泡を出しながら、微かに動いている。

その動きは嫌悪感を掻き立てる。

…フラスコの中身と同一の物なのだろうか。

アクリルの、犬小屋程度の大きさの水槽が幾つか置いてある。

中には半透明の液体が満たされ、その中に何かが沈められていた。

…それが子供くらいの大きさの、人型の『何か』だと気づくのには、さして時間はかからなかった。

髪の毛のない、青白い肌の人型。

ちょうど胎児がそのまま小学生くらいの大きさになったような、そんな不気味な人型だった。

そんなものが教室内に、十近く置いてある。

魔女の私ですら、驚きを禁じえなかったのだ。

一般人ならば悲鳴の一つも上げていただろう。

だというのに、その教室で胎児もどきを見つめる白衣の男は、恍惚とした表情をしていた。

その表情ですぐに悟る。

この胎児もどきを創造したのは、この白衣の男…この間廊下で私とぶつかった、化学の安藤教諭なのだと。