魔女の瞳

ガサガサと枯れ草を踏みしめる音を立てて、私は旧校舎の入り口に近づいた。

当然と言えば当然の話だが、入り口の引き戸には南京錠がかけられていた。

開放していては生徒が入って悪戯しかねない。

当たり前の処置だった。

…生憎と私はこの南京錠の鍵など持ち合わせていなかったが。

「子供騙しね」

瞳に魔力を通し、呪眼を発動させる。

縦長の瞳孔に、金色に輝く白目。

その呪眼で南京錠を睨むと。

カチン!と。

触れもしないのに、音を立てて錠は開いた。

『開錠』の魔術。

まぁ初歩的な魔術なのでそれ程自慢できるものでもないが。

鍵を開けて、私は立て付けの悪い旧校舎の引き戸を開いた。

…中はカビと埃の臭いで充満している。

一歩足を踏み入れただけで、モワッと床に積もった埃が舞い上がった。

木造だけあって床は歩く度にミシミシと音を立て、かつて使われていたであろう教室の窓は所々割れている。

無造作に廊下に投げ出された机や椅子。

それに混じって、倉庫代わりに使われているという話は本当らしく、まだ新しい教材…プロジェクターや型の古いコピー機などが、隅に申し訳なさそうに鎮座していた。

…この辺は特に目を引くものではない。

私が探りを入れようとしているものとは何の関係もないものなのだから。