魔女の瞳

昼休み。

「四門」

教室の席に座ってぼんやりしていると、修内太が声をかけてきた。

「昼飯はもう済ませたか?」

「うん、済ませたけど…何かしら?」

「担任に、学校を案内してやってくれって頼まれてな。時間あるか?」

無愛想な、でも頼まれた以上は責任を持って果たす、と言いだけな真面目そうな雰囲気。

ひと昔前の、この国の男性みたいだ。

こういうの、この国の言葉で何て言うんだっけ。

時代錯誤?

ちょっと違うか。

そんな事を思いながら。

「是非お願いするわ」

私は笑顔を浮かべて席を立った。

今度のは作り笑いではなく、ほんの少しだけ本音の笑顔で。





「そこ保健室。で、ここの先に学食あるから。早めに行かないと席なくなるぞ」

昼休みの生徒達で賑わう廊下を足早に歩きながら、修内太は説明をしてくれる。

不必要な言葉は一切発しない。

必要最低限の言葉だけの会話。

でも、女と見ればすぐに色目を使ってくる今の時代のチャラチャラした男達よりはずっといい。

人間には何の期待も希望も抱いていないけど、彼は少しはマシかな。

あくまでほんの少し、だけど。

私は修内太の無愛想ぶりに好感を覚えていた。

と。

「あ」

廊下を曲がった所で、白衣を着た男性と肩がぶつかった。

「すみません」

謝る私に。

「……」

男性は一瞥だけくれて、再び廊下を歩いていった。

「化学の安藤先生だ」

修内太が言った。