魔女の瞳

教室が途端に騒がしくなる。

「ふえー、レベル高い子が転校してきたなー」

「見て見てー、すっげー足長い、腰の位置が違うよ」

「ハーフなのかな、すっごい美人」

聞こえてくる声は、主に私の外見に関するものだ。

そんな声を手を叩いて静めながら、担任の教師は教室の一番後ろの席を私に与えた。

転校生のお決まりのポジションだ。

声をかけてくる気のいいクラスメイト達に軽く会釈しながら、私は席に着いた。

「よ」

隣の席のブレザー姿の男子生徒が挨拶してくる。

「よろしくね」

作り笑顔で言う私に。

「ああ、よろしく。俺、宮川修内太(シュナイダー)な」

その男子生徒はぶっきらぼうに名乗った。

短く揃えた髪、無愛想とも言えるほどの無表情、その割には意志の強そうな瞳。

外見は良過ぎず悪過ぎずといった感じ。

それより気になるのは二つ。

「しゅないだー?変わった名前ね」

「言うと思ったよ」

彼…修内太はプイとそっぽを向いた。

「親が変わり者でな、こんな当て字みたいな名前つけやがったんだ。うちの家系変な名前多いんだ。親戚の姉ちゃんも『へきる』ってんだぜ」

「へぇ」

修内太の『太』は男の子を表す字だと聞いた事がある。

修羅を内に秘めた男…修内太か。

「いい名前じゃない」

「…そうか?」

彼は微かに笑みを浮かべたように見えた。