コトコトコト…。

2人っきりのキッチンに夢羽が煮物を煮付ける音と有夜が野菜を切る音がこだましていた。

しかし、二人の間に会話はなかった。

気まずい空気がさっきから10分くらい流れていた。

「…。」

夢羽は木べらで煮物を混ぜながらちらりと隣の有夜を見た。

(さっきから黙ってるな…。なんか怒ってるのかな?)

あの温厚な有夜が怒ることといえば…。

(…やっぱり、有夜くんにけがさせちゃったこと、怒ってるのかな。)

自分で考えて、夢羽は少しだけ肩を落とした。

(…誤ったほうがいいかな…。)