【長】野球ボール

「おーい、泣くのはまだ早くね?」


「な、泣いてないしっ」


笑顔でベンチに戻ってきた一輝が、すぐにあたしの変化に気付いた。


「あっそ。んじゃ勝って、おもいっきり泣かせてやるっ」


「うれし涙?」


「当然」


そう言って、あたしの頭に手を置いた。




「9回裏かー…」


「緊張してるの?」


「ん?たぶん違う」


空を見上げる一輝。


今日は本当に良い天気。

全てが綺麗に見える。


「甲子園に一番近いとこに、今俺達はいるんだよな」


「……そうだね」


確かにそう考えると、大きいね…すごく。


「俺が神社で言ったこと覚えてるか?」


そう言ってまた笑うと、一輝はあたしから離れて行った。


一輝が…言ったこと?