【長】野球ボール

「一輝はギプスが取れた日、俺のとこに一人できた」


知らなかった…そんなこと。


「この手で今までのプレーができるとは思ってない。それでも俺は試合に出たいんだ…ってな」


「やっぱり一輝は野球が好きだから…」


そんなあたしの言葉に、監督が続ける。


「それだけじゃなさそうだったぞ?自分は今回迷惑もかけたし、キャプテンとしても足りない部分は多かった。それでも見捨てないでくれた皆に、プレーで返したいってな」


あたし達3人、誰も言葉が出てこなかった。




「もしデッドボールが左手に当たって、野球が一生できなくなったとしても…笑ってられる自信がある、そう一輝は言った」


な…に……言ってるの…?


「そのデッドボールででも塁に出たら、皆の役に立つからってな。俺は3年間楽しかったから、もういいって言ってたぞ」


監督が満足そうな笑顔で言った。