【長】野球ボール

コンコン……


あたしは個室の重い扉を開けた。


「……一輝?」


あたしを見るその目は、間違いなく一輝。


「……叶夏?動いて大丈夫なのか?」


あたしを心配するその声は、間違いなく一輝。




「ここ座れよ。さっき親帰ったとこなんだ」


一輝が”ここ”と言ったとこに目を向けた。


全てが間違いなく一輝なのに…。


”左手”だけはいつもと違う。


包帯でぐるぐるに巻かれた左手。


「…か…ずき?」


あたしは震えた声をやっと出すことができた。


何で…?