「遅ぇー」


「嘘!!今日絶対いつもより早いっ」


これも、もういつもの帰りの会話。


「今日成宮さんと会えた?これから?」


「予備校が終わったら、連絡くることになってるの」


「予備校ねー…」


歩き始めた一輝は、空を見上げて呟いた。

もう空もだいぶ暗い。




「でもたぶん、ほとんど一緒にいられないけど」


「……それで叶夏はいいのか?」


あたしを全く見ることなく、痛いとこ突いてくる。


「え…?いいってわけじゃないけどね、何も言えないっていうか…」


「何だそれ」


冷たい一輝の声が、更にあたしの心に刺さる。