俺は、お嬢様の部屋の前に立つ。

コンコン、と扉を叩いた。


「………」


相変わらず返事がない。この前のナイフ飛んできた事件のせいもあって、俺は慎重に部屋に入った。


「お嬢様ー。来ましたよー」

部屋の中は薄暗い…。電気はついておらず、部屋に差し込むのはカーテンを開けてある窓からの月明かりだけ。

俺は暗いと思いながら、電気のスイッチに手を伸ばした。


「つけるな」


でも、そう一言だけ、お嬢様は言った。
もしかして今の見えてたのか…?
俺はつけようとした手を引いて、お嬢様のいるベッドの方へと向かった。


「どうしたんですか、お嬢様。珍しい時間のお呼びだしでしたが」

「……」

また沈黙かよ。全く、うちのお嬢様はぁー。

「何か、ありましたか?悩みとかですか?私でよければ、話を聞きますよ」