訳あり二人暮らし




「俺と、誰を重ねてる?
そいつがどんな奴か分かんないけど、俺はあんたに何もしないから…泣いていいよ」


彼は私を包み込むように抱きしめた。


この人は男の人なのに、まだ名前も知らないのに。


怖さを感じない…むしろ、彼はとても暖かかった。


「大丈夫だから」


優しく宥めるように頭を撫でてくれて…。

何かが弾けるように、涙が溢れた。


私は彼の暖かさと優しい声音に委ねるように、泣いていた。