「本当かどうかを信じるのはあんた次第だけど…ま、此処に置いていかれたくなかったら取り敢えずついてこい」
ひ、一人で迷子なんて…そんなの…
「…もっと嫌っ」
つい思い出してしまった過去に彼の服をぎゅっと掴んでしまった事は一生の不覚かもしれないけど…今だけだからと自分に言い聞かせることにした。
置いていかれてしまう恐怖に怯え、彼に言う。
「ついてく、から…もう少しだけ、こうさせて…下さい…」
申し訳なさと、恥ずかしさと、少しの恐怖。
勇気を振り絞りそっと彼を見上げてみると。
私を馬鹿にするような楽しげな笑みでも、余裕たっぷりなにやけ顔でもなく。
「…ん、りょうかい」
切れ長の瞳でチロリと私を見つめ、何処か優しい顔をしていたのだ。
月明かりに照らされた彼の横顔は、なんとなく…赤みを帯びていたような気がした。
