ここまで言われてしまうと迷子になった不安や恐怖というものはまだまだ十二分にあるものの、恥ずかしさという物は薄れてきてしまう。
私は今日十何度目かとなる溜め息をついた。
…にしても、本当にどうしよう。
今が何時かも分からないし、明後日から学校なのに帰れなかったら…
家の住所もまだ覚えてないし…
男の存在など忘れてただひたすらに考え込んだ。
すると
「あのさ」
と隣からかけられた声。
「な、んでふか?」
落ち着いて考えてみるとこの人は男だ。
今更ながら、頭の中に危険信号が鳴り響く。
警戒心を持ちながら返事をすると見事に吃り、噛んでしまった。
