バイトが終わり、携帯電話の電源を入れる。留守電は入っていない、今日は予定通り下北に14:00だ。軽めの昼食を取り、時間になるのを待つ。小田急線に乗り、目的地は下北沢。今日は彼が待っていた。
「お疲れ様です。」
「おはよ。お疲れ様です。」
挨拶を返す。
「どっか適当な喫茶店に入ろうか。」
彼の提案を受け入れ、下北の町を歩く。
「ここにしよ。」
「うん。」
階段を上がり、ビルの2階にある喫茶店に入った。内装は木造でシックな作りだ。窓際の2人がけのテーブルに案内された。
「じゃ、さっそくと・・・」
フィルムを取り出そうとする彼の動作を遮り、口を開いた。
「あのね、話があるの。」
彼と目が合う。
「私達ね、2人で一緒にいることが自然だと思うの。」
彼は私の気持ちをまったく理解していない目をして、私を見つめている。
「だからね、好きなの。原田さんの事が・・・」
一瞬の沈黙の後、彼が口を開いた。
「両想いだね。」
はりつめた空気の中で、2人が笑顔になった。
「付き合おっか?」
一応、確認してみる。
「うん。」
私達は「恋人」になった。