そして、私が父に暴力をされたということはーーー



「てめぇ、そんなとこで突っ立ってねえで飯作れよ!!!!!」


階段の下から父の声。
声が向けられているのは母である。


最近、仕事場でうまくいっていないらしい父の怒りは、私と母にぶつけられている。


どうして私の家はこんなに荒れているのだろう。


友達のひなちゃんの家も、さっちんの家も、父から母が、ましてや自分が暴力を受けることなんて全くないらしい。


どうして?


どうしたらいいのかわからない。

母を助けたいけど、今出て行ったところで私なんてきっと相手にされない。


それに、また殴られるのは嫌だ。



どうすることも出来ない私は、勉強机に向かい、参考書を開く。

成績のことが、父の怒りの根源ではないことは、わかっている。

でも私には、これしかできない。


どうしようもできない思いを、ひたすらに、ただひたすらに勉強に注ぎ込んでいた。