(今日から3年生かぁーー!
仲の良い子と同じクラスになれるとイイなぁ〜)
暖かい日差しに包まれて
心も暖まっていた今日、明音達は新学期を迎えていた。
新入生より早く学校に来る、
2、3年生は一目散にクラス表に駆け付けた。
人混みに押されながらも、奥へ進んで行くと、明音よりも遥かに背が高い奏兵の姿があった。
「おはようございます橘さん。」
「おはよう!
あ、私1組だよ!
奏兵君は………同じクラスじゃなかったね…」
「僕は2組でした。
でも、部活でまたよろしくお願いします。」
少し寂しそうな顔をする明音に対して、しっかりとした敬語で奏兵は答えた。
クラス表を後にすると、
明音は一人で教室に向かった。
教室のドアを開ける前に
明音は小さく深呼吸をする。
(クラスに馴染めるかなぁ……)
息を飲んでドアを開けると、
大体の子は友達と話していた。
黒板にある座席表を見ると、
見覚えのある名前が隣にあった。
「よぉ、チビ」
聞き覚えのある声。
振り返ってみると
「相沢君!って!
チビじゃないわい!!!」
相沢 要の姿があった。
バイトが一緒で仲良くなったが、未だにどんな人なのか、わからない…
「なになに、要の彼女?」
同じクラスの何人かの男子が絡んで来た。
『はぁ?誰がこんなブス!』
二人は大声でピッタリと声を揃えた。
「息ぴったりじゃねw」
うるさかった教室が更に笑い声でうるさくなった。
(誰がこんな奴と付き合うですって?相沢君は意地悪だし絶対彼女できないっしょ!)
要の悪口を明音は心の底で
ぶつぶつ呪文のように唱えていた。
「只今より新入生歓迎会を
始めます______」
教頭先生の挨拶で始まった
新入生歓迎会。
この会は、新しく入ってきた1年生に学校の色々なことを知って、欲しいと思って開いた会。
一番のメインは
"部活動紹介"
軽音部が企画したのは、
日頃の活動の紹介と
皆が憧れるような
演奏を舞台で披露する!!
様々な部活が披露されて行く中、明音は、舞台袖でガクガクに震えていた。
「あかねぇ〜
いい加減こんな小さな舞台
慣れなよ〜」
と、香苗からの厳しい一言。
私は、この会や、文化祭なんかでは毎年こんな感じだった。
「今、すごい緊張してるけど私、みんながいてくれて、よかったよ!」
「どーしたの?改まって」
「明音らしくねーな!」
香苗と翔太は同時に微笑んだ。
「僕もです!!
橘さんの声で、なぜか
勇気が出てくるんです!」
舞台で吹奏楽の演奏が行われているが、奏兵の声は明音の耳にしっかり届いた。
みんなの声で明音は
緊張感なんていつの間にか
なくなっていた。
「じゃあ!もう準備は万端みたいよ?」
香苗が舞台の方向に体を向けた。
息ぴったりに全員が頷くと大きな歓声と共に
舞台に立った。
