「卒業生代表、相川澪。」



「はい」




澪先輩はしっかりとした返事をして、舞台に上がってきた。









なんか昨日のことに思えるよ…
先輩達、SnowCrystalで
笑ってた日々が…








そう思うと涙が止まらなくなってしまう。


在校生達は、後ろで卒業生を見送る。

明音は涙が止まらなくなってしまった。

拳を膝に当てて男子の座り方になっている。




もう会えなくなるわけじゃないけど先輩2人がいなくなるだけで軽音部は変わってしまうと思う。



それに新入部員が一人も入って来なかったら………















「廃部……か……」







香苗がため息を着く。


部室では軽音部(卒業生を除く)
は、それぞれ楽器の手入れなどをしていた。





この後、先輩を部室に呼び出して私達が作った曲を披露。


それで、裏庭に澪先輩を呼び出していーちゃんが告白!


くぅ〜…完璧!!


「あの…1人でも来ればいいんですか?」


奏兵がCDの棚を整理しながら
言った。



「うん…本来部員は5人必要なんだ。
だから奏兵君が入ってくれただけでもすごく助かったよ!!!ありがとう!」


明音は奏兵の両手をギュッと握る。



「そ、それじゃぁ一旦練習しておこ…////」



顔を赤らめる奏兵は、気を取り直そうと練習しようとみんなに呼びかける。


「あーじゃあ俺先輩達呼んでくるわー」

「私もー」



翔太と香苗は、
わざとらしそうに、棒読みだった。


「あ、ちょっと……」


明音が引きとめようとするものの、すでに部室にはいなかった。



「2人だけでも練習しておきません?」


奏兵は歌詞の書かれた紙を出す。それに対して明音は笑顔で頷いた。





ガチャっと音を立てたドアからでてきたのは澪先輩と詩織先輩。



先輩達は舞台の向かいの椅子に腰を掛ける。



翔太と香苗も自分の楽器の前に立つ。



「先輩方、ご卒業おめでとうございます!私達、まだ未熟だし先輩達がいなくなると、
とても寂しいです…
これからは、この軽音部を廃部させないように、毎日練習に励み、必ずいろんな人に感動を与えられるような部にしていきます!!!
聞いてください私達が作った歌です!!」



明音は演奏する前から涙がこみ上げてきた。
1.2.123.と言う翔太のかけ声で演奏は始まった。

私が作曲したのは実は初めてだった。

本当は何日もかかったんだけど、決して飽きなかった。

むしろ楽しかったんだ。


先輩達を嬉し涙で泣かせれる歌を作ろうと思ったら、ペンが止まらなかった______



「ありがとうございました!!!!」


演奏が終わり、4人は先輩に深く頭を下げて今までのお礼を言った。


先輩達は涙を流しながらも笑顔で拍手をする。


「良い曲だったわ。みんな、ありがとう……」


あまりにも暗い空気で、
長い沈黙が続いたので明音は先に進める事にした。


「さぁさぁ!澪先輩は裏庭にいっちゃってください!!」



「え、なんで私…?」



強引に明音は澪先輩の腕を掴んで、裏庭に向かった。



「明音ちゃん…一体なにが?
…あれ?」



いつの間にか澪先輩の前から
明音の姿がなくなっていた?


「あれ、宮本じゃん
どーしたのこんなところで」



澪先輩の前には伊織の姿があった。

いつから待っていたのかわからないが、どことなくいつもの雰囲気と違った。


「あのさ、俺
相川の事が好きなんだ。
だから付き合って欲しいんだけど……」



「はい?」



いきなりの言葉に澪先輩は驚いた。


「ダメだよなぁ…いきなりすぎだし……お前も好きな人とかいるよな……」


「うん」


キッパリと好きな人いる宣言されてしまい諦めてしまった伊織。


「そっか…ごめん…」


「本当はね卒業式にずっと前から告白しようと思ってた人がいたんだ。」


「もういいよ、俺帰るから」



「その相手はね…」




伊織は思わず耳を塞いだ。












「宮本……なんだ」



「え、今なんて?」




微かに聞こえた自分の名前に驚きを隠せなかった。





「だから!宮本伊織!!!」


澪先輩は満面の笑みで答えた。