「篠宮 奏兵です…

よろしくお願いします」


ある日突然やってきた季節外れの転校生…

クラスのみんながざわついてる。


「なんかあの人結構かっこよくない?」

「えーでもなんな根暗な感じするーww」

ある女子生徒がきゃっきゃ騒いでる中

明音は今にも寝てしまいそうで

睡魔と戦っていた。


(もう…無理…)


耐えきれず明音は机に顔を伏せた。







「橘さん…橘さん……」

誰かに肩を突つかれて目を覚ますと、

教室はオレンジ色に染まっており、

目の前には転校生の姿があった。

「えっと…篠宮くん…?」

明音が目をこすりながら言うと

篠宮君はにっこりと微笑んだ。

「奏兵でいいですよ
部活は行かないんですか?」


気が付けば教室に私と奏兵以外には
誰もいない…

2人きり⁉︎

「じゃぁ、私もう行くね!!」


明音は素早く教科書をカバンにしまって

小走りで教室から出ていってしまった。


「あ…水筒忘れてる……」




教室から部室まではかなりの距離がある。


なんていったって最上階の隅の

何年も掃除してなかった教室だからだ…

今の3年生の先輩達が軽音部を結成しよ

うとしたんだけど

この汚い教室しかなかったわけ…

でも先輩達が掃除してくれたおかげでとっても綺麗になった。


やっと着いたと思い、明音は部室のドアを開けた。

「あっ!明音ちゃん♪
これみてみて~♪」

「えっと私が作りました
どうかな…」

この人達が私達の先輩

相川 澪 (あいかわ みお)先輩と

七瀬 詩織 (ななせ しおり)先輩だ。

澪先輩はボーカル担当。

運動神経がよくて

とてもかっこいい!

でも歌を歌っているときは
ガラッと雰囲気が変わる。


詩織先輩はキーボードをやっている。

とても優しくてとっても素敵な先輩です!


「あ!部員募集のチラシですか⁉︎」

「うん…」


詩織先輩は恥ずかしそうに
小さく頷いた。


「次1年生が来たとき必要だろ?
まぁ…私達はいないけど…」

シュンとする先輩たちの顔を見て
すかさず私は大声を出した。


「せんぱぁぁい!そんなこと言わないでください!!」

大粒の涙を流す私に先輩は頭を撫でてくれた。

その手はすごくあったかくて、

本当に本当に先輩達がいなくなると思うとすごい悲しい…



私達で軽音部を引き継がないと…