彼女が育っていく過程で、地下室に出入りしたのは、たった二人でした。

一人目は、食事や掃除をする彼女専用の赤毛のメイド、エッダでした。

エッダは貧しい家の生まれでしたが、心優しい女性でした。

地下室に閉じ込められた少女に同情し、娘のように可愛がりました。

少女はそんなエッダが大好きでした。


二人目は、家庭教師のカールでした。

いつも決まった時間に地下室にやってきて、文字の読み書きや、計算を教えてくれました。

カールはいつも気難しい顔をしているおじさんでしたが、根はいい人でした。

授業が早く終わると、少女にいろいろなお話を聞かせてくれたのです。

少女はそんなカールが大好きでした。