私立の進学校に入学したのはいいけれど、成績は下がるばかりで毎日担任から嫌みを言われること。
元々、友達付き合いは下手な方で、高校では友達が出来ないこと。
それに加え、最近は両親とも上手くいってないこと。
生きていること…それが、私にとって無意味に思えてきたこと。
彼女は何も言わずに、私の話を聞いていた。
返ってくる言葉は何だろう?
バカらしい…と笑い飛ばすだろうか?
くだらない…と怒り出すだろうか?
実際に中学の同級生だった沙織はそうだった。
「死にたいだって?あんたねぇ、贅沢よ。有名進学校に入ったくせに。私なんか、三流よ!それでも何とか頑張ってんのよ。そりゃ、勉強は大変かもしれないけどさ。明るい未来丸見えじゃないのっっ」
その他もろもろ、まくし立てあげられ、一方的に電話を切られてしまった。
「死んだりしちゃダメよ」
え?
私は彼女を見た。
ふっと優しい笑みがこぼれ、彼女は言葉を続けた。
「今ここで死んでしまったら楽になるかもしれない。でもそれは負けたってことよ。今はどんなに辛くたって、その分いつか良いことに巡り会えるかもしれないでしょ?」
それは少し大人びた言い方だった。
「友達がいないなら、私がなってあげる。だから、死にたいなんて思わないでね」


その後、私達はすぐに別れた。
けれど私は、彼女の笑顔を忘れることが出来なかった。