桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー




「……絢香?どうしたの……?」



待合室のソファで一人座って

泣いていると、


ジュースを二本持った沙耶が

心配そうな顔をして

私の顔を覗き込んだ。



「……大丈夫?」


「うん、大丈夫」


私は泣くのをやめて、

沙耶に言った。



「そんな沈まないでさ、

 笑っていようよ。


 絢香の笑顔が、

 涼の支えになると思うよ」




まったく、何で二人して

同じことを言うのだろうか。



『笑え』って。



「…そうだよね。

 笑顔が一番、だよね」