その時。 服の裾を握っていた私の手が、 温かいものに包まれた。 「………涼?」 私はびっくりした。 だって、 涼が私の手を握ってたから。 「僕も……絢香が、好きだよ」 「…………え……?」 「僕も、絢香のことが好きだった。 出逢ったときから、ずっと」 え……。 私の小さな手を握る、 涼の男の子らしい手のひらは、 すごくすごく温かくて。 その温もりと 信じられない出来事に、 涙が止まらなかった。