涼は、色々なことを教えてくれる。 “当たり前” って思ってたことが、 決して当たり前ではないこと。 健康でいられること、 学校へ行けること、 そして…生きていること。 涼は、自分の病気のことを 詳しく話さなかった。 “重い心臓病” っていうことだけしか、 教えてくれない。 ううん、違う。 教えてくれないんじゃなくて、 私が聞かないだけ。 聞いてしまったら、 また涼が 寂しそうな顔を するんじゃないかって。 涼の寂しそうな顔を、 もう見たくないから。