桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー




「わぁ……きれい」


夜空に咲いては散っていく、


たくさんの花火。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん!

 今、ハート型の花火だった!」


鈴香は相変わらず、


ハイテンションだったけれど、


涼は何も言わずに

夜空をずっと見つめていた。


その瞳は遠くを

見ているようで、


すごく寂しげだった。