「絢香ちゃん!?どうしたの?」 鈴香の担当の看護師さんが、 私を呼びとめた。 「あの……!鈴香と同じ病室の…」 あ………。 私、あの人の名前…知らない。 「あの、私と同い年の……」 名前が分からないから、 こう言うしかなかった。 「あ、涼くん? 涼くんが、どうしたの?」 あの人―――涼っていうんだ。 “りょう”って、いい響きだな。 って、こんなこと 考えてる場合じゃない。 「あの……桜の木の下で、 倒れてて……」 「え!?」