「お姉ちゃんが、全然
学校に来ないから心配だって」
「ああ……」
そうだよね。
もうすぐ卒業式。
「沙耶ちゃんがね、
卒業式の日……、
渡したいものがあるんだって」
渡したいもの?
「分かった。ありがとう、鈴香。
ご飯……作れなくて、ごめんね」
「ううん、大丈夫」
鈴香は、肉じゃがとカレーしか
作れないから、
私が部屋に
閉じこもるようになってからは
夜ご飯は
肉じゃがとカレーばかりだった。
でも、鈴香は私が教えたことを
しっかり頭に
入れておいてくれてるんだなって
ちょっと嬉しくなる。
涼を失くした今、
私の唯一の癒しは鈴香だった。


