次の日も、 彼はいつもの場所に 本を読みながら座っていた。 昨日のことを思い出してしまって、 恥ずかしくなってくる。 なんとなく通りたくなかったけど、 通らなければ 病院に行くことができないんだ。 ちらっと横目で 彼の様子を窺いながら、 私は通り過ぎようとした。 なんでだろう。 彼を見るだけで、 心臓がうるさいくらいに ドキドキと高鳴るのは。 私は胸を押さえながら、 早足で歩く。 私が見てるのが分かったのか、 彼はこっちを見てにっこりと笑い、 また本に目を移してしまった。