桜舞う季節に ー君が教えてくれたことー




「お姉ちゃん」


鈴香に呼ばれても、

私は返事を返せずにいた。


「どうして.........? 

 沙耶、涼は......完治したんでしょ?


 なのに、なんで......?」


涙がどっと溢れ出す。




怖い。


このままじゃ

涼を失ってしまいそうで、怖い。



「絢香!泣かないの!」



沙耶が私の肩を叩く。



「もう! 本当に絢香は

 泣き虫なんだから!


 もっと強くなりなさいよ!」