それからのことは、 頭が真っ白で何も覚えてない。 ただひとつ、涼は 一命を取り留めたけれど、 今すごく危険な状態だということ。 もう訳が分からなくなって 緊急治療室の前で崩れ落ちる私に、 沙耶が優しく言った。 「大丈夫だよ、絢香。 涼は不死身だからさ」 最近は、沙耶に励まされてばっかりだ。 沙耶は、私よりもずっとずっと 辛い経験をしてきたのに。 「沙耶………」 沙耶のその寂しげな笑顔は、 どことなく涼に似ていて。 私の目から涙が溢れた。