「あんたさ、何浮かれてるか知らないけどそんなんでリレー走られたら迷惑。優勝がかかってんのがまだわかんないわけ?いつまでもそんなんなら他の奴と代われよ」
あたしを毒舌交じりにからかう
いつもの水沢くんじゃなかった
…本気で怒ってる
さっきので浮かれてちゃんと
走れなかった事、わかってるんだ
「ご、ごめんなさい。もう忘れるから。リレーに100%集中する」
「…どうだか」
少しだけ表情が和らいで、他へ行ってしまった
そうだよ、先輩の事は後だ
今は優勝に向けて頑張らないといけないのに足引っ張ってどうするのさ
リレーは得点が高い
篠原先輩にも注意しなくちゃ
リレーの招集場所に行くと
敦郎先輩の姿がある
しかも水沢くんの隣に並んで
一緒にアンカーの場所へ移動してる
昨日のアンカーは違う先輩だったはず
「アツが急に代わるって言い出したのよ」
「え?」
隣の篠原先輩が喋り出した
「ま、気まぐれだと思うけど。それより、アツの彼女はあたしなんだからね。借り物競争で選ばれたからって、それもアツの気まぐれなんだから」
ー気まぐれー
その言葉がすごく胸に響いた
けど頭から追い払うように顔を横に振った
いけない、今は考えてる場合じゃない