私には、仲の良い親戚のお兄さんがいた。
名前は、仮にK君としよう。
彼が亡くなったと知らされたのは、
つい先日のことだ。

私は、少し古びたアパートの階段を
懐かしく思いながら、一歩一歩、
K君が住んでいた部屋に向かう。


当時、私が中学生だったから、
大学生であるK君は
ずいぶん大人びて見えた。

ある時は頼りになる兄、
ある時は優しくてカッコいい恋人、
ある時は私を良く理解してくれる友達。
そんな風に、私はK君のことを見ていた。

……今なら笑っちゃうような小娘のカンチガイだ。