「す、すごい美人でしたね!スタイルもよくて、可愛らしくて……」
「まーな。高校の頃から変わらなすぎて、こっちだけ歳取ってる気分になって、なんかムカつく」
フォローするように切り出した話題に、内海さんははは、と笑う。
「花音と裕……さっき会ったあいつらな、どっちも俺の高校の同級生で、その頃から付き合ってて結婚した夫婦なんだよ」
「えっ、高校からですか?すごい、ラブラブなんですね」
「あーもう、そりゃあ胸糞悪いくらいな」
高校生から一緒で結婚、なんて噂には聞いたことあるけれど、周りにあまりいないだけに珍しい。余程仲がいいのだろう、と単純に思った。
「……で、俺は花音のことがずっと好きだったってわけ」
「え……?」
『ずっと好きだった』、……?
その言葉に、私と彼の間には一瞬静けさが漂い雨の音が鮮明に響く。
内海さんの、好きだった人……だからあの夜、その名前を呼んで?



