ビター・スウィート




「おい永井、昨日の打ち合わせお前はどうだった?」



すると突然、前を歩く彼から問いかけられた。



「へ?どう、っていうのは……」

「楽しかったか、つまらなかったか。売れると思えたか、思えなかったか」

「え、えーと……売れると、思います。デザインもすごく可愛いですし、物によっては客層も広くいけそうですし。ただ若者向けとなると、値段を少し考えなくちゃいけないかなと、思います」

「そうか」

「あっでもすごく楽しかったです!商品企画ってあんなにわくわくするんですね!」



率直に伝えた、思ったままの気持ち。それに対し内海さんは『だろう?』とでも言いたげに笑みを見せる。



「まぁこれからあれこれ細かいこと考えていくうちに頭が痛くなってくるんだがな。どんな物を作ろうか自由に考えるのは、楽しい」



もしかして、今回私を連れてきてくれたのはその楽しさを教えるためっていうのもあるのかな。

歩きながらぽん、と頭を頭を撫でてくれる手は、広瀬先輩より骨っぽくて少し違う感触。だけどその感触が、少し嬉しい。